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鉄血のアイン、2期のジュリエッタ、JGの佐久間中尉、とうらぶを愛する個人の趣味サイトです☆女性向けです!総受けです!・・・苦手な方はバック推奨。

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【陰陽師と執念深い狐の話】 小話3~猫と鬼の話~

【猫と鬼の話】

「おかえり佐久間さん。早くに出てったのに遅か・・・・・・って、なんで鬼なんて連れてきてんだよ!?」
佐久間と共に当たり前の様に門をくぐった鬼二人を見て、この屋敷に憑き、代々護ってきた猫又の波多野は毛を逆立てた。
「なんだ猫又か・・・ほら、喉を撫でてやるから機嫌を直せよ」
鬼の一人、甘利が手を伸ばしたが、軽く跳ねて躱す。
引っ掻かなかったのは、鬼に対する優しでも遠慮でもなく、大事な屋敷を血で汚したくないだけだ。
(ここは佐久間さんを送り出して出迎える為の、大事な場所なんだぞ!)
無神経な鬼の態度に、ますます波多野の怒りが増した。
「おい、手出しするなよ甘利。先住にはそれ相応の敬意を払え」
神永が甘利を窘める。
この二人、今の様に甘利よりも神永の方が理について詳しいが、それもそのはず、外形は同じ年齢に見受けられても、
実際は甘利は七十歳程で、妖怪にしては年若く、神永はすでに百五十歳を超えている。
倍以上も違えば、知識量に差があるのは当然である。
「佐久間さん、この猫又は眷属かい?」
「・・・いや、波多野は屋敷を護ってくれているからな。俺に付き合わせる事などできん」
(佐久間さんの言葉は正しい。佐久間さんと任務に出れば、屋敷を空ける事になる・・・それは分かってるけど・・・)
「波多野、この鬼達は俺が契約を結ぼうと思い連れてきたんだ。今のところ、客として扱ってくれ」
「・・・え・・・?」
いつも飄々としている波多野の口から、もの悲しいような声が漏れた。
「とはいえ、まずは師匠に確認してからだ」
佐久間が屋敷の奥に消えるのを、寂しげな猫の背中が見送った。

結城の了解を得た佐久間が、口付けを介して互いの気を交わし合い、鬼と契約を結ぶのを、猫は瞬き一つせず、じっと見つめた。



「・・・ねぇ、こいつらに二人に勝ったら、俺も佐久間さんの眷属にしてよ」

翌朝、鬼二人を見据えて、気まぐれな猫又が言い放った。

「波多野?・・・それは・・・」
「好きにさせてやれ佐久間。契約はできても、今の貴様の力では、一度に力の制御を解けるのは精々三人までだ。
ならば、残りは屋敷に置いて護らせればいい。波多野を連れ出しても、何の問題もあるまい」
戸惑う佐久間の後ろに音も無く現れた結城が、波多野を見ながら伝えた。

甘利が年若い鬼でも、二人相手では波多野が不利ではないかと思う佐久間だが、結城の言葉は、明らかに波多野の勝ちを見据えた言葉だった。
(・・・そういれば、俺は波多野が戦っているところを見た事も無かったんだな・・・)
当たり前の様に側にいて、真実を見失っていた自分を佐久間は恥じた。そして、改めて波多野に向き合おうと強く誓った。


「あんたを見くびってる訳じゃないが、二対一というのは・・・」
神永が人型になった波多野に向けて言い募る。
これから同じ屋敷に住む者として、後に遺恨を残すような真似はしたくない。
「いや、これでいい・・・“俺が”お前等を見くびってんだよ・・・ほら早く掛かってきなよ?」
生意気そうに鬼を見下した波多野は、ちょいちょいと手招きした。
「あっちもああ言ってるんだ。もういいだろ神永?」
「・・・そうだな、あれだけ言ってるんだ・・・気を付けろよ甘利」
神永は安い挑発にのせられたリはしない。頬を伝う汗を拭うと、より慎重に身構えた。

甘利が地面に手を向けると、地面の一部が盛り上がり、金棒を形作った。
大きく重い金棒を甘利は軽やかに持ち上げると、頭上で回転させ、遠心力を利用して威力を上げる。
「うおぉぉお!」
手招きを繰り返す波多野に向けて、甘利は躊躇無くそれを振り上げた。

「いくら威力があってもさ、当たらなければ意味が無いんだよね」
笑いながら、最小限の動きでそれを躱した波多野は、自分の着地点に向けて放たれる神永の鬼火を先読みし、
片手で屋根の端を掴むと、その勢いを殺さず器用に体を回転させ、屋根瓦の上に飛び乗った。
もちろん、すぐにその場所目掛けて金棒の二撃目がくるのも予測済。

ガシャァァァァァンン!!

轟音を響かせ、屋根の真ん中に大穴が開く。
その威力に、さすがは鬼の力だなと感心するが、大きな動きは逆に隙を生む。
「ぐは・・・っ!」
屋根の残骸にめり込んだ金棒を抜こうとする甘利の一瞬の隙を付いて、顎下の急所目掛けて強烈な一撃を叩き込んだ。
「・・・浅いか」
再び鬼火の気配を察して、横に跳躍してそれを躱すが、甘利に入れた一撃が少し浅くなってしまった。
鬼の体は頑丈なので、少しでも浅いと倒す事はできないだろう。
だが、今の鬼火の攻撃は甘利に当たって怪我を負わしたのではないだろうか?とも思い、視線を再び甘利に向ける。
「へぇ・・・便利じゃん」
周囲の空気ごと、自分に向かってきた鬼火を甘利が吸い込んだ。
そして、口に含んだそれを、波多野に向けて吹き付けた。
「・・・・・・ちょっと焦げた」
直撃する寸前に上手く避けたと思ったが、煤にまみれた尻尾の先を視界の端に捉えて、口を尖らせる波多野。
「やっぱ、先にお前を倒す!」
(そりゃ、こいつは一本しか角の生えてないまだガキの鬼で、本気を出すのは大人げないって分かってるけど・・・尻尾を焼いてくれたお礼はきっちりしないとなっ!)
「尻尾と髭は、俺の自慢なんだつーの!!」
甘利が視覚でも到底捉えられない程、速度を上げて距離を詰めた波多野は、甘利の腕を掴んで、屋根の上から地面へと投げ飛ばす。
そのまま上に跳躍した波多野は、重力と速度を足して重くなった踵を甘利の脳天へと直撃させた。

「・・・あれは、痛いなー・・・」
早業すぎて、神永が手助けする間すら無かった。
「神永だったっけ?あんたはもうちょっと楽しませてくれよ!」
神永に向き直った波多野がにんまりと笑う。

強い鬼程、角の数が多い。体内に溜まった力を集めて角を作り出し、今度は生えた角に力を蓄える。
昨日、空腹時の神永を見た三好が、一角と勘違いをしたが、佐久間より気を貰って本来の力を取り戻した神永の頭上に、角は二本生えていた。

「当たらなければ意味が無いって、さっき言っただろ?」
背後を取られた神永の首に、先端の焦げた二又の尻尾が巻き付けられた。
「・・・それが分かってても、速すぎて当てられなかったんだよ」


・・・・・・結局、力の差は歴然だったのだ。


「そこまでだ!!波多野、もう勝敗はついたんだ。二人を連れて戻ってこい」
「はーい!」
正に鶴の一声、佐久間の制止で動きを止めた波多野は、猫なで声で答えると、神永に向けて振り上げていた拳を下ろし、神永の肩を掴んで担ぎ上げた。

二人を担ぎ上げた波多野が佐久間の元に戻ると、佐久間は展開していた結界を解いた。
それと同時に、壊れた屋根や燃えた家などが、元の状態に戻る。
「俺って強いよね!早く契約しよう佐久間さん!」
「・・・やりすぎだ全く・・・それに、契約は屋敷に戻ってからだ」
「そんじゃ、今すぐ帰ろう!」
上機嫌な波多野は、両手で担いでいた甘利と神永の体を片手に持ち替えると、空いた方の手で佐久間の体を抱き上げた。
そして、屋根と屋根を飛び移りながら全速力で駆け抜ける。
(・・・田崎が飛ぶ速度より、速いかも・・・)

まだ全力を出し切っていないだろう波多野の力と、初めて見せた波多野の顔に、佐久間は驚きすぎて普通の言葉しか出なかったのをもどかしく思う。
(・・・帰ったら改めて褒めてやろう)
そんな風に佐久間が考えている間に、見慣れた屋敷の塀が見えてきた。
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