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鉄血のアイン、2期のジュリエッタ、JGの佐久間中尉、とうらぶを愛する個人の趣味サイトです☆女性向けです!総受けです!・・・苦手な方はバック推奨。

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【陰陽師と執念深い狐の話】 小話6~犬と刀の話~

色々と脱線していましたが、妖怪パロの続きです。


【犬と刀の話】

「どうしましょう!どうしましょう!」
おろおろと廊下を行ったり来たりを繰り返す初老の女性。
広いが貧乏な結城の屋敷にいる、唯一の女中である。

「どうかしましたか、お福さん?」
お福は自分を心配げに見つめる青年、佐久間を見上げた。
昔から結城の屋敷に勤め、佐久間を赤ん坊の頃から知り、お世話してきたお福は、密かに佐久間の事を息子のように思っている。
「ああ、佐久間さん・・・それが、その・・・包丁が見当たらないのです」
「え・・・?」
お福の言葉に、佐久間はお福が昔から愛用している和包丁を思い浮かべた。
丁寧に研いで、大事に扱われ、美味い料理を生み出すのに必要不可欠なもの。
「調理場を調べてもいいですか?」
「ええ、お願いします」
佐久間の言葉に、お福は深々と頭を下げた。

「・・・昼食を作っていた時には、確かにあったのですけどね・・・勝手に居なくなる訳もありませんし、やはり私がどこかに置き忘れているのかしら?」
調理場を調べる佐久間の後ろで、お福が不安げに呟く。
まな板に手を置いた佐久間は、そこに残る微かな妖気に気が付いた。
「いいえ、お福さんのせいではありませんよ。俺が夕食に間に合うように連れ戻してきます」
「・・・・・・?」
お福を安心させるように、佐久間はにこりと微笑んだ。


「それで、包丁探しですか?」
何も無かったところからスッと姿を現した三好が問い掛けた。
「そうだが、包丁ではなく妖に転じているようだ。夕食まであまり時間が無いからな・・・」
三好に答えながら、おもむろに服を脱ぎ始める佐久間。
「「「「「「 !!? 」」」」」」
鍛えられ六つに割れた腹筋に、六人の眷属達の目が釘付けになる。
彼らの主は、八年の間で身体ともに立派に成長し、人型になった彼らの誰よりも身長が高くなった。
しかし18歳になり、大人の魅了というか色気を増したその姿は、彼らを増々に惹きつける。

「護身用に頼む」
下穿きだけになった佐久間は、飾られていた日本刀に手を伸ばした。
青白い光を放ちながら、その刀身が太刀から短刀へと変化する。
短刀を革紐で左腕に括り付けると、佐久間は札を銜えた。
(変化ッ!!)
心中で唱えると、佐久間の体が黒い毛並みの犬へと変化した。
佐久間が身に着けていた下穿きがパサリと床に落ちる。
「これで、速やかに妖の匂いを追跡する!」
くるんと上に巻いた尻尾に、ぷりんとしたお尻の愛らしい柴犬・・・いや佐久間は、キリリとまろ眉を吊り上げた。
「ちょっと待って佐久間さん。せめて神永と甘利を連れていって下さい」
外へ飛び出そうとしていた佐久間を引き止めると、人型に戻った三好が一寸法師大の神永と、犬になった佐久間の可愛さに悶絶していた甘利を指先でつまむと、佐久間の背へと放り投げた。
ちなみに佐久間の力が増した今では、口付け無しでも人型を保てるようになっている。
「モフモフだな」
神永が佐久間の乗り心地に、思わずそう述べた。
「・・・モフモフだ・・・」
甘利は恍惚の表情を浮かべ、嬉しそうにしている。
「では、行ってくる!」
鬼二人がしっかりと自分の首筋にしがみ付いたのを確認して、佐久間は駆け出した。

「お前は行かなくてよかったのか?」
波多野が眠そうな目を、三好に向ける。
「・・・犬と狐が並んでいたら、人目に付きますよ」
いくら佐久間が力を付けたといっても、不測の事態は存在するし、力はより強い妖を惹きつけ狙われやすい。
そんな三好の心配を、指摘したのだ。


空中に微かに残る妖気を追った佐久間が辿り着いたのは、魚屋だった。
「ここって・・・」
神永が怪訝そうにしている。
「・・・フサフサだ・・・」
甘利は恍惚の表情を浮かべ、嬉しそうにしている。
「ここに居たようだが、すでに移動しているな」
先程よりも、より濃い匂いを佐久間の鼻が捉えた。


再び妖気を追って佐久間が辿り着いたのは、八百屋だった。
「ここって・・・」
神永が怪訝そうにしている。
「・・・フワフワだ・・・」
甘利は恍惚の表情を浮かべ、嬉しそうにしている。
「かなり近付いている・・・もうすぐだ」
更に濃くなった匂いを佐久間の鼻が捉えた。


「見つけた・・・!」
川岸に座る青年を見つけた佐久間の尻尾が、大きく揺れる。
「・・・佐久間さんか」
佐久間が青年に寄り添うように座ると、ぼんやりと川を眺めていた青年の目が、佐久間へ向けられた。
「俺の事が分かるのか?」
「佐久間さんも、俺を使ってくれた事があるから分かるんだ」
数えるくらいしかないが、確かにお福さんに習って料理をした事がある。
青年の表情はあまり変わらなかったが、懐かしむように、口元が微かに緩んでいた。
「それならば話は早いな・・・」
「ああ、俺を元の姿に戻してくれ」
「・・・いや、せっかく“付喪神”に至ったんだ。お前は料理に興味があるのだろう?」
追跡中に、立ち寄ったところを思い浮かべながら、佐久間が問い掛ける。
「まぁ、俺は“包丁”だしな」
自分の本体である包丁を右手の上に、顕現させる青年。
「お前が良ければだが、俺と契約して力を貸してくれないか?そして、普段は調理場でお福さんの手伝いとして料理を作ってほしい!」
名案だとばかりに、真っ黒なドングリ眼をキラキラと輝かせる佐久間。
「どうだ福本?」
「・・・・・・その“福本”というのは?」
「お福さんの名前を借りて、俺が決めたお前の名だ!」
((・・・おいおい、佐久間さんから名を与えられるとか、羨ましすぎるだろ!))
佐久間の背中の上で、話を聞いていた鬼二人が同時に興奮したが、空気を読んで互いの口を塞いだ。
「・・・そうか、名を呼ばれるのは嬉しいものだな・・・佐久間さん、俺を貴方の眷属に加えてくれ」
「こちらこそ、よろしくな福本」
佐久間はその場で福本に口付けた。
(・・・佐久間さんには、元の姿で口付けてもらいたかった)
なんて思いながらも、佐久間の温かな気を受け取った福本は、自分の気を佐久間に送り返した。


「・・・早く帰らねば、夕食に間に合わなくなる」
暗くなり始めた空を見上げた佐久間が呟くのとほぼ同時に、「・・・美味ソウナ匂イガスル・・・!」と禍々しい声が響き、黒い影が騒めいた。
鋭い視線を周囲に向けた佐久間は、左前脚に括り付けた短刀を口で抜こうとする。
「この程度の妖なんて俺達に任せて、佐久間さんはそこで待っててくれ!」
「四半刻も掛からせねぇ!」
元の大きさに戻った甘利と神永の言葉に、「俺達の出番は無さそうだな」と佐久間は短刀に笑い掛けた。

「?」
佐久間が浮遊感に顔を上げると、福本の腕の中に抱き上げられていた。
「これが、佐久間さんがしている仕事なんだな」
「・・・そうだ。福本にも手伝ってもらう機会があるだろうし、しっかり見ておいてくれ」
佐久間の言葉に、福本が無言で頷いた。


「こちらの方が速い」と言われ、長身の福本に抱き抱えられたまま、佐久間は屋敷に帰り着いた。
「少し待っていてくれ」
福本に言い伝えて、別室で元の姿に戻った佐久間は手早く着替えを済ませる。

待っていた三好ら四人にも事情を説明し、福本を紹介する。
簡単な挨拶を交わし終えた福本が、佐久間へと振り向いた。
「・・・お前は姿を見せないのか?」
佐久間ではなく、佐久間が手に持っていた“日本刀”に、静かに問い掛ける福本。
福本の言葉に呼応するように刀は青白い光を放ち、佐久間の目前に、真面目そうな青年・・・いや、“日本刀”の付喪神が姿を現した。

「小田切・・・俺の力不足で、実体化できんのかと思っていたぞ・・・!!」
破顔しながら、“日本刀”の付喪神である小田切を抱きしめる佐久間。
「・・・ちょっと待って下さい!佐久間さんはその存在に気付いてたんですか!?」
佐久間の喜びように、少々不機嫌さを滲ませながら三好が慌てて尋ねた。
「勿論だ!刀を使っていると、小田切の意志が流れ込んできたからな。それに、いつも俺を助けてくれていたんだ!
三好のいた森に行った時にも刀身を発光させて夜道を照らしてくれたり、未熟だった俺の剣術を部分憑依で手助けしてくれたりな」
「そんなに昔から・・・僕が初めてだと思っていたのに・・・!」
三好が悔しげに唇を噛みしめる。
「師匠から聞いたが、赤ん坊だった俺の事も護ってくれていたのだろう?」
「・・・俺はずっと佐久間さんと一緒にいました。貴方の過去、出生の秘密も知っています。
佐久間さんが成長し、伝えられる時が来るまで待っていたんですよ。
・・・・・・佐久間さんは、ご自分の事をもっと知りたいですか?」
小田切の瞳が、真っ直ぐに佐久間を見据えた。
「いや、俺はあくまで結城師匠の弟子の陰陽師だ。良い仲間にも恵まれ、此の上無い幸せ者だと思っている。
・・・それに、お前のような立派な刀を持たせてくれたんだ。疎まれて捨てられたのではないという事くらい理解しているさ」
言葉通りに、満面の笑みを浮かべながら、佐久間は自分の想いを小田切に伝えた。
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